03 頭蓋内動脈の動脈硬化性狭窄症に対する血管内治療
病状
高速道路運転中に物が二重に見えるエピソードで当科紹介され来院した男性。高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、痛風の合併症を持ち近医で加療を行っている。紹介される前2~3週間前に、天井が回るめまい発作(20秒ほど)を2~3回自覚していた。即日入院。
検査方法と結果
精査を進めると左椎骨動脈遠位側(頭蓋内)でほぼ閉塞、右椎骨動脈遠位側(頭蓋内)で70%狭窄を認めた。同部位は、頸部を回旋すると閉塞しめまいが誘発された。

MRA(MRで作成した血管像)で,右椎骨動脈遠位側(頭蓋内)の狭窄性病変(矢印)が認められる。左椎骨動脈はほぼ既に閉塞していて描出されない。

3D(3次元)のCTA(CTで作成した血管像,背面から見た像)において、椎骨動脈の頭蓋内病変の狭窄と同部位に石灰化(白色で表示されている)が顕著で、左椎骨動脈はほぼ閉塞し右椎骨動脈の狭窄(矢印)も著しい。
手術方法と結果
全身麻酔下にステントを併用した経皮的脳血管形成術を実施。

経皮的脳血管形成術術中の脳血管造影写真。
左は、ズテントを頭蓋内の狭窄性病変に誘導したところ(矢印)を示す。右は、ステント留置術直後に狭窄性病変が拡張された(矢印)ところを示す。
患者様のその後
術後、上記症状は消失。術後2年を経過するが再発の兆候は1度も出現せずに経過している。
症例バックナンバー
- 01:脳動脈瘤
- 02:くも膜下出血
- 03:頭蓋内動脈の動脈硬化性狭窄症に対する血管内治療
- 04:超急性期脳梗塞に対する脳血管内治療
- 05:ステントを併用した脳動脈瘤コイル塞栓術