脳血管内治療センター

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蘇生会総合病院 脳血管内治療センター

04 超急性期脳梗塞に対する脳血管内治療

病状

朝起床してこないため、家族に発見され当院へ救急搬送される。意識障害と左片麻痺、構語障害など重篤な神経症状を認めた。

検査方法と結果

緊急でMRI/MRA、さらに脳血流量測定(Xe CT: キセノンCT)を緊急で実施すると、右内頸動脈起始部の閉塞、右中大脳動脈の閉塞が明らかとなった。さらにXeCTでは、すでに脳梗塞が完成しているとこ ろとまだ完全に脳梗塞になっていないところが明瞭に描出された。発症時刻(発見時刻ではなく)がわからないため、t-PA療法(発症から3時間以内という 制約がある)は実施できないが、XeCTの結果から緊急で閉塞している頸動脈と中大脳動脈を再開通させる治療により救える脳があると判断した。

搬入時に撮影された頭部CT

搬入時に撮影された頭部CT:超急性期脳梗塞の頭部CTでは、一見すると全く異常所見がないように見えるCT像を示す。しかし意識障害と左片麻痺が 認められる重篤な神経症状を認めている。よく見ると右前頭葉の皮髄境界の不鮮明化、島リボンの消失などの虚血性変化(矢印)が観察される。

搬入時に撮影された頭部MRI-DWI(拡散強調画像)

搬入時に撮影された頭部MRI-DWI(拡散強調画像):白く光っているところ(矢印)が、すでに脳組織の虚血性変化が進行して細胞浮腫が出現しているところを示す。その多くは既に壊死(脳組織が死に至ること)が避けられない。

搬入時に撮影された頭部MRA

搬入時に撮影された頭部MRA: 右内頸動脈の閉塞、さらに右中大脳動脈の閉塞が生じていることがわかる(矢印)。

搬入時に撮影されたXeCT

搬入時に撮影されたXeCT: 上段のFlow mapでは、右大脳が広い範囲での血流量が低下(寒色であればあるほど血流量が低い)が示されている。下段のλ(ラムダ)mapで寒色で表示されていると ころは、すでに脳血流量がほぼ0と考えてよい部位を示す。この領域は既に壊死していると考えられ、再開通治療により回復はできない。その周辺の脳組織の救 済のために再開通治療がなされることになる。

手術方法と結果

緊急で、脳血管造影から右内頸動脈起始部閉塞を確認しPTA(経皮的血管形成術)バルーンを用いて拡張させた。血栓が多量に認められたため、Urokinaseを用いて血栓を溶解しさらに右中大脳動脈の再開通を試み部分再開通を達成した。

緊急脳血管造影とPTAにより再開通を果たした内頸動脈と中大脳動脈(矢印)

緊急脳血管造影とPTAにより再開通を果たした内頸動脈と中大脳動脈(矢印)

発症から3日目の頭部CT

発症から3日目の頭部CT: 搬入時にすでに梗塞に陥っている部位で一出血(白く描出されている)しているが、その周辺の脳が大きな脳梗塞から救済されていることがわかる。

患者様のその後

その結果、既に脳梗塞に陥っていた部位の周辺の脳は回復し、リハビリテーションを継続することにより徐々に神経症状の回復を認め、杖歩行を獲得し日常生活への復帰を果たした。

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