症状について
検診で発見される方の多くは無症状です。嚥下時の違和感、胸痛、食欲不振、体重減少、吐血、下血、嗄声などの症状を認める場合もあります。
検査について
- 上部消化管内視鏡検査(食道胃カメラ)
- 上部消化管透視(食道胃透視)
- CT検査
- PET検査 など
治療について
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD：Endoscopic Submucosal Dissection)
一定の条件を満たす表在食道癌に対しては、外科的な手術ではなく内視鏡(食道胃カメラ)で切除可能な場合があります。この治療は消化器内科で行なっています。病変組織検査の結果、追加の外科的処置(食道切除)を行う場合もあります。
鏡視下食道切除術
胸腔鏡や腹腔鏡というカメラを用いることで、小さな傷で行う手術です。開胸手術に比べて肋骨を切離しないため、術後肺炎が少ないというメリットがあります。食道の切除範囲、リンパの郭清範囲は通常の手術と同様です。再建臓器としては通常、胃を用います。胃による再建が困難な場合には、結腸や小腸を用いることになります。切除不能例に対する姑息的治療（バイパス術）では腹腔鏡(縦隔鏡)を用いることもあります。
開胸、開腹食道切除術
一般に行われている外科的治療法です。鏡視下手術の適応外と判断した場合に選択します。(通常は鏡視下で行います）
化学療法
抗癌剤、免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療法です。当院では食道がん診療ガイドラインに準拠して実施しています。リンパ節転移や腹膜転移、遠隔転移（肝臓、肺など）が認められる場合に行います。進行食道癌では術前化学療法を行なってから手術を実施します。また、外科的切除後に再発予防目的で行う術後補助化学療法も行っています。食道癌手術は体へのダメージが大きい手術となりますので、手術療法が適当でない（手術に耐えられない全身状態）と判断した場合に選択することもあります。
放射線療法
食道癌では、放射線治療効果が期待できるタイプが多いため、化学療法と組み合わせて行う場合があります。また切除不能な転移巣に対しても症状緩和のために照射することがあります。当院ではサイバーナイフセンターと連携して適応、照射範囲、照射量を決定し治療にあたっています。